アイドルヲタクになったけど……

アイドルヲタクになってよかった事と言えば「自分好みのルックスな女の子のバリエーションが増えた」「可愛い、好きって感情をストレートに伝えても女の子に嫌がられない体験が増える」という事にある。
モテないからオタクなのか、オタクだからモテないのかという鳥と卵の話には、決着はつかないが、「モテないから空いた時間のリソースをそこにつぎ込んでしまう」事は大いにあると思う。確かにアニメはほぼ観なくなった。ソシャゲはやってない。デレステスクフェスも。モバマスは3年前に辞めた。艦これも同じ。
じゃあ、僕はオタクじゃないな……と思ったらアイドルヲタクになっただけだった。
え、オタクじゃなくなっただけで何も意識は変わってないぞ。都内でよく行くライブハウスのある駅や地域がだいたい分かり、夏に行く場所が同じゆりかもめに乗ってもお台場フジテレビになっただけだ。
じゃあ、そもそも「オタク」ってなんだろう?
「オタク」じゃなくなっても、その精神はどこかにあるんだろうか。

アニメやマンガが好きだと言えば「オタクだね」と世間的には言う。「俺/わたしオタクでー」と芸能人は言うし、それを真似て皆そんなことを言う。
じゃあ、ここで仮説を設定しよう。「オタク」についての仮説疫学だ。

「オタク」についての仮説疫学

①【萌えっぽい深夜アニメやマンガ、ソシャゲ、ゲーム好き】

これには大多数の若者がそれに入る。そういう「萌え産業」が好きなのは自覚的に「オタク」な人だ。
方や「コミケ行かないけど/同人誌とか買わないけど/テレビつけたら無料だからなんとなく観てて/ソシャゲだから課金しないでリセマラしてキャラ手に入れたい」程度には好きな人がたちもいる。オタクと同じ物が好きだけど、金は払わない。前者は金を業界に落とし、後者は落とさない。
それが線引きになっていて「オタクっぽい趣味が好きな人」でも「オタク」ではない自己自認が存在する。
それは定義するなら「オタクっぽい趣味が好きな普通の人」に過ぎない。休日に行けばブックオフや本屋にうろついているような人たちだ。暇つぶしにアニメやマンガはふさわしい。だから流行りがくればこだわりなくすぐ好きになる。

②【服装に気を使ってない】

「いや、それはひどい決めつけなんじゃないの?」と言われたらそうだけど、ドラマ・映画にもなった「電車男」で主人公の電車男はアドバイスに従い服装を買えようとしていたし、僕が中学生の頃に読んだ未だに新装し出版されてる「脱オタファッションガイド」がある理由、そしてネットにおける言説では「オタクは服装がダサい」という偏見が根強くある。ということは仮定に加えてもいいだろう。

これは個人差が強いから印象で語るしかないが、「オタクは服装に気を使ってない」は正しい。若ければ服に金を使わないでゲーセンやコンテンツに金を「真っ当なオタク」ならつぎ込んでいるからだ。
年配になれば、おそらく気を使っても人は見てないし(社会性があるので服は清潔であればいい)周りもそうなのでそのまま来たんだろう。
「身なりに気を使わない」という意味で能町みね子は「圏外」と著書『くすぶれ!モテない系』で名付けていたから、それを僕も使おうと思う。
オタクを自認している人が多くいる同人誌即売会に行くと、「圏外くん、圏外ちゃん」率は上昇していく。

「オタクっぽい趣味が好きな普通の人」は普通の人なので、人並みにメンノンやノンノなんかを読み、セレクトショップユニクロ無印良品や自分の好きなブランドで服を買うのでそれには当てはまらない。
服を選ぶという行為は(そして服装を選ばないという行為も)そもそも「趣味」ではない。本人の自意識よりも社会の要求によりする必然のものなので楽しめない人がいるのもムリはないだろう。
その事については、高野雀『あたらしいひふ』『13月のゆうれい』について書くときに詳細を書こうと思う。

じゃあ、アイドルヲタクはどうなの?

ここまで書いてきたが、①と②にアイドルヲタクになると当てはまらない場合が多い。アイドルヲタクの場合は、握手やチェキ撮があるのでアイドルを不快にはさせないために、ライブの後は汗を拭いてグッズの物販Tに着替える。
握手時の会話でアイドルからツッコんでもらいたくて、アイドルが好きなキャラが描かれたシャツやキャップを被っていくのもドルヲタのいじらしさだ。
「オタクは専門職だ!」というパンチラインが昔Twitterにあったが、それに関しては本当にそうだと思う。住むところ変われば、周りも変わるのだ。
目の前にいて会話できるアイドル、ヲタクのノリ、ライブハウスの雰囲気を楽しみたいなら行くしかない。人と場所が発する熱を感じるためにはそれしかない。その自発性が自ら湧いてくる感覚はアイドルヲタクにならないとわからない。

乱暴な結論で締める。
僕は二次元オタク→アイドルヲタクになりどっちも楽しめてるが、それは誰でもそうなるとは限らない。むしろ、二次元オタクはアイドルを毛嫌いする傾向にある。
その事についてはなぜそうなるのかという推論があるので、また別の記事で書こう。

なんで急にこんなに予定にないこと書いたかって、女の子に(告白する以前に)振られたのを思い出して苦しくなったからです!
『13月のゆうれい』は色々思わせるマンガだな……。